Allo介護の不思議な世界

こんにちは!介護ブログ管理人のサキです。 この記事は介護は難しい、わかりにくい方に向け、初心者でも簡単に紐解いた解説をします。 介護保険は、3年毎に改正されます。この記事を読むと、最新の介護事情や歴史に触れることができます。 とは言え、一体どうしたらいいかが分からない…というあなたのために、一日一つブログをアップし解説したいと思います。 この記事を読み、実践する事であなたも介護の達人になりますよ! ですので、ブックマークをつけて、じっくりと読み進めながら取り組まれてみてください。

介護施設に大浴槽は必要ですか?

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介護施設及び介護サービス事業所全般を見渡して、一番介護事故が多いスペースは浴室である。





過去には、機械浴のストッパーが故障していて、ストレッチャーが順送式のレール上に止まらず、床に転落して、ストレッチャーに寝かされていた高齢者が死亡した例もある。





浴槽の湯音調整装置が故障して、サーモスタットが作動せずに浴槽内が熱湯状態になっていたことに気が付かずに、利用者を熱湯風呂に浸からせて重度のやけどを負わせて死亡させたケースもある。同じように手元シャワーの湯音調節がされずにやけどを負わせて死亡させた例もあるが、その中には明らかに殺意があったとしか思えないケースも含まれている。






それらの事故にもまして多く報告されているのは、浴槽内の溺死事故である。先月末にも埼玉県川口市の特別養護老人ホームに入所する高齢女性が、入浴介護中に死亡する事故が発生した。司法解剖の結果、死因は溺死であることが判明しており、現在業務上過失致死容疑を視野に入れて捜査が進められている。





本件の被害女性(86歳)は、特養の女性介護士の介助をうけながら車イスのまま入浴していたが、この職員が次の入居者の脱衣を手伝うために被害女性から目を離し、次に被害女性の姿を探したところ、姿は見えない状態で、駆けつけると浴槽内に口元まで浴槽に浸かっていた状態であったという。介護士らが数人がかりで浴槽から被害女性をひきあげたがすでに意識はなく、すぐに119番通報したものの、搬送先の病院で死亡が確認されたという事件である。






浴槽の中で姿勢保持が難しい人から一瞬でも目を離せば危険であることは言うまでもなく、本件のような悲劇を繰り返さないためには、見守りを怠らないことを徹底することだ。





しかし要介護者すべてが、見守られなければ入浴ができないと考えるのもどうかしてる。要介護者の方すべてが、自分の裸身を人にさらさねば入浴ができないとレッテルを張る介護は間違っており、そこもアセスメントによる対応であると言いたいが、本件のような事故が起きると一律機械的に、介護施設等では、介護職員がいない状態での入浴行為を禁止するという方向に流れるのだろう。そういう意味で「自立支援」をスローガンに掲げている介護保険制度において、「入浴」という行為に限っては、自立を阻害する制限ルールしか適用されていないというのが本当のところである。





しかしこの問題は、入浴という行為に特化して考えるのではなく、入浴設備を含めた入浴環境というマクロな視点で考えなければならない問題ではないだろうか?






介護施設の多くは、温泉旅館かと見間違えるくらいの大きな浴室と大浴場で入浴支援を行っている。浴槽も大きいだけではなく、深い場合が多い。一体あの浴室設計はどのような考えで行われているのだろう。1度の入浴介助で一体何人の利用者を浴室内に入れ、浴槽に何人の要介護者が同時に浸かることを想定しているのだろう?





入浴支援についての基本的な考え方は、入浴準備から脱衣所移動~着脱支援~浴室移動~洗身介助~浴槽出入り介助~着替え介助~移動支援までの一連行為を、マンツーマンで行うことである。



この部分で職員の分業は行わせていない。




この方法で入浴支援を行なえば、浴室内は常に利用者は一人である。仮に複数の人が同時に浴室に入っていても、それぞれに専属の介助職員がいるから、目を離すことはない。しかもそういう体制であれば、大浴室などいらなくて、ユニットバスのような小さな浴槽の方が入りやすい。生活リハビリ浴槽という発想もそこから生まれている。





浴室のサイズももっと小さく浅くすることで、片麻痺のある人も、安定姿勢で入浴が可能になる。この場合、人によっては介助する必要がなくなり一人で入浴することも可能になる。そういう可能性を排除してよいのだろうか?





そもそも堀込式の段差のない浴槽は片麻痺などの障害がある人にとって、実に入りにくい浴槽環境であることは広く知られている。片麻痺のある人にとって、高い段差があって縁に座ることのできる浴槽の方が入りやすいのだ。ユニットバス式のそうした浴槽に座る台を付けるなどの工夫をした方が、障害のある人にとってより良い浴室環境といえるのに、いまだに堀込式の深すぎでデカすぎる浴槽を設置する介護施設が多いのは、工夫する知恵がないとしか言いようがない。





今回の事故を受けて、浴室の広さや深さを再考する議論が起きることを期待している。





そんな議論が起きなくとも、今後新しい介護施設や、介護サービス事業所の設計と立ち上げに関わる方は、入浴支援は一度にたくさんの人を対象に行う行為ではなく、本来はマンツーマンで対応する行為であることを念頭に置いて、新しい浴室環境を考えてもらいたい。





入浴中の死亡事故を防ぐための一番の対策は、そうした総合的環境改善策なのである。