Allo介護の不思議な世界

こんにちは!介護ブログ管理人のサキです。 この記事は介護は難しい、わかりにくい方に向け、初心者でも簡単に紐解いた解説をします。 介護保険は、3年毎に改正されます。この記事を読むと、最新の介護事情や歴史に触れることができます。 とは言え、一体どうしたらいいかが分からない…というあなたのために、一日一つブログをアップし解説したいと思います。 この記事を読み、実践する事であなたも介護の達人になりますよ! ですので、ブックマークをつけて、じっくりと読み進めながら取り組まれてみてください。

混合介護のルール明確化4《今後の事業経営に及ぼす影響》

介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供できる事例とルールが新たに示されたことで、いわゆる混合介護が従前より広く多様に展開できることになった。






訪問介護では保険給付サービス前後及びサービスを途中で中断して、保険外サービスを別に提供することが可とされ、その中では家族に対する保険外サービスも実施できるようになった。





従前の通所介護では、サービスを一旦中断して行える行為が理美容と併設医療機関への急病による受診だけであったものが、今回の通知以後、通所介護を中断して行うことができる保険外サービスが、健康診断、予防接種若しくは採血などに拡大されたほか、通所介護の途中で中向けして、個人の希望による外出サービスを行なったり、物販・移動販売やレンタルサービス行うこともできるようになった。サービス提供と同時進行で、通所介護の職員が買い物等代行サービスをすることも可能となった。






これらは訪問介護と通所介護に限定された取り扱いではなく、他の訪問サービス事業と通所サービス事業にも適用される。それは事業者にとってどのような意味があるのだろうか。保険外収入を得る方法が増えたということは、そのまま事業者の利益につながり、事業経営にプラスとなるのだろうか。





・・・そうは思えない






例えば訪問介護について、「利用者本人分の料理と同居家族分の料理を同時に調理するといった、訪問介護と保険外サービスを同時一体的に提供することは認めない。」と釘を刺されている。しかしこれは訪問介護事業者が一番求めていた混合介護の形ではなかったのではないだろうか。





なぜなら利用者の食事と家族の食事を同時に作るという行為は、料理を作る量が増えるだけで、手間がさほど増えるわけではないのである。いつもの料理作りの量を増やすだけで、保険給付と一体的に保険外収入を得られるのであれば、訪問介護員の就業時間も長くならず、それはそのまま事業者の収入増加につながるだろう。しかし今回これは認められなかった。





認められた保険外サービスとは、あくまで訪問介護の前後の時間や、訪問介護をいったん中断する時間帯において、保険給付としては認められていないサービスを別に行うことである。





そうであれば訪問介護員が行わねばならない業務は確実に増えるわけであり、保険給付としてのサービス提供時間は変わらなくとも(※保険外サービスを提供している時間は、保険給付のサービス提供時間から除かれる)、保険外サービスに携わる分の就業時間は確実に増えるわけだから、保険サービスと保険外サービスを組み合わせてサービス提供する場合、一人でこのサービスに関わる従業員の勤務時間は長くならざるを得ない。





さらにサービスが多様化する分、様々なサービスに対応できるようなスキルが求められるかもしれない。そうすると人件費や教育費は確実に増加するわけである。





通所介護についても、保険外サービスに携わる職員は、保険給付である通所介護の配置規準から外れるために、保険外サービスが提供するためには、それなりの人員配置が必要になる。





例えば受診同行については、「個別に行うものであり、利用者個人のニーズにかかわらず、複数の利用者を一律 にまとめて同行支援をするようなサービスを提供することは、適当ではない。」として、職員は利用者にマンツーマンで対応せねばならないのだから、複数の受診対応者を一人の職員で対応して保険外費用を得るという効率化は図れないわけである。





送迎のための運転専門の職員がいる場合に、サービス提供時間の配置職員ではないその職員が、買い物等代行サービスを行って保険外収入を別途得ることができるのはプラスと考えられるが、そもそも今までその運転専門職員がサービス提供時間中に何をしていたかということが問題となる。まさか遊ばせていたわけではないのだろうから、併設施設等の別の仕事に携わっていたのかもしれない。その業務はしなくてよいのかということも考えねばならない。





また通所サービスの場合、道路運送法に基づく許可又は登録を行っているところはほとんどないと思うが、通所介護と組み合わせることができる保険外サービスの運送部分を有償化した場合は、この許可又は登録が求められ、登録車両による対応が必須になる。それも手間といえば手間である。





保険外サービスを実施するために、会計や運営基準を別にすることや、保険外サービスの説明をしたり、請求を別にしたりすることは事務処理上の問題だから、サービス現場の職員の業務負担増にはならないと思われるが、保険外サービスの記録も必要とされているのだから、この部分の手間は確実に増える。





訪問・通所サービス事業者が保険外収入を得る方法は多様化し、保険給付事業と連続してそれを行なえるという意味での効率化は図られたといってよい。しかしそのための運営コストは従前以上にかかってくるということになる。少なくとも従前までと同様の運営コストで混合介護が可能になることはない。まかり間違って、運営コストの方が収益を上回ることがないようにしなければならないことは当然であるが、それにもまして心配されることがある。





それは混合介護の弾力化によって、介護事業者が保険外収入を得やすくなったことを理由に、今後の報酬改定で保険給付額が引き下げられるのではないかという懸念がぬぐえないこと。





さらに言えば今回示された混合介護は、「行わない」という選択肢がほとんどないということだ。なぜならそれをしない事業者を、利用者や計画担当者である介護支援専門員が選択しなくなるのは必然だからである。何かあれば保険外サービスも利用できるという事業者が選ばれていくのは、ごく自然な流れなので、事業経営のためには混合介護を提供できる事業者にならねばならず、ほとんどの事業者がそれを行うことにならざるを得なくなる。





その結果、多くの介護事業者が混合介護を実施するようになれば、混合介護が提供できる事業者であるという差別化は不可能となり、それは看板にはならないという意味である。





どちらにしても訪問サービス事業者及び通所サービス事業者は、混合介護を提供できるように体制整備が求められ、その体制の中で保険外収入を得るための営業努力が求められるということになる。なぜなら混合介護を提供できない事業者は、事業経営に必要な収益を挙げられずに倒産の危機に直面する可能性が高いと言えるからである。







しかし人手不足が深刻な問題となっている今日、保険給付の前後及び途中で保険外サービスを提供できる人員配置はできるのか、そうした人員配置をしないまま、保険外サービスを提供する方向に舵を切った時、訪問介護員や通所介護の職員は疲弊して辞めてしまう恐れもある。





そしてそうした人材を確保・配置するためのコストが収入以上の負担とならないのかが大きな課題となる。





しかも保険外サービスは、全額自己負担なのだから、さほど高い費用を設定できないということにもなる。ほとんどの訪問・通所サービス事業者が、このサービスを行い、保険外費用を設定するのだから、顧客確保競争を勝ち抜くためには、この費用設定も他の事業者より高くならないように設定する必要があり、場合によっては顧客確保のための値引き競争が行われる地域が出てくるかもしれない。介護事業者間で、「牛丼戦争」と同じ様態が生ずる可能性があるのだ。





従前より多くの保険外収入を確保する方策を得ることができたわけであるからといって、それは事業経営を大きく支える財源とはなりえず、保険給付の単価が削られた分を補う程度しか期待できないのかもしれない。だからと言ってそれをしないでいては、利用者確保はままならず、事業撤退しなければならなくなるのだ。






ということで弾力化された混合介護は、事業者にとって決しておいしいサービスではないが、取り組まなければならないサービスとなり、事業経営者の手腕が益々問われるという結果をもたらすと思う。